おはようございます、megosuriです。
お越しくださってありがとうございます。

スミレの刺繍の続き。
スミレの背景の右側部分をステッチしました↓



この背景に使っているのは、DMCの677番の糸なのですが、なんだか手作りの(市販のではなく)バニラアイスクリームの色に似ています。
食いしん坊なので、刺繍糸もおいしそうな色が好きなんですよね。




それで、今日ご紹介する愛読書も、おいしそうなタイトルの本。



「卵と小麦粉それからマドレーヌ」石井睦美・作 長新太・絵

表紙の長新太のマドレーヌがとてもおいしそうですよね。
いつだったか、遠い昔、偶然見かけて、おいしそうなタイトルと表紙にひかれて手に取ったら、もう夢中になって立ち読みしてしまった本です。
東京・新宿南口の紀伊國屋書店で買ったことを、今でも覚えています。



ジャンルとしては、児童文学に分けられるものだと思いますが、私は児童文学が大好き。
児童文学とは、子供が読む本、ではなく、子供も含めて幅広い年代の人が楽しめるジャンルだと思っています。

物語は、主人公の女の子・菜穂が、クラスの一人の女の子・亜矢と友達になるシーンから始まります。
そのシーンがとても素敵で、亜矢もとても素敵な女の子なのですよ。
本が大好きな女の子で、図書館のシーンが多く出てくるのも好きです。
亜矢の愛読書も出てきます。

そして、帰宅したシーンを描く次の章の始まり。家はママの焼いたお菓子の匂いでいっぱい。
こんなふうに書かれています。

「バターとバニラエッセンス。あまい空気が廊下を通って玄関までおしよせている。」

思わず胸いっぱいにその空気を吸い込みたくなる書き出しです。

ママはとても料理が上手で、たくさんのお菓子や料理の名前が出てきます。
そのことで、後にママは大きな一歩を踏み出そうとするのですが、それをきっかけに、菜穂が大きく変わっていくのが、とても読み応えのある、そしてどこか懐かしく、甘酸っぱい気もする展開で描かれていきます。

私は、登場人物の中で、このママがかなり好きです。
どの登場人物もとっても素敵な人ばかりなのですがね。

ママのおおーっというセリフ。

「反抗期なのかしら」ってママは言った。
「大きくなったのね、ママ、うれしいわ」ってママは言った。

そして、菜穂の誕生日。
誕生日は毎年パパとママと三人で、決まったやりとりがあるのですが、その描写も楽しくて、それにちょっと参考になります。

その席でママが驚くべき発言をし…。
その大きな決断をママにさせたのは、1年生のとき、菜穂がママに尋ねた一言だったのですが、この辺りもなんだか切ないような気持ちを抱かせる展開です。

ママの大きな決断を、パパが受け入れる様子もまた素敵で、こんなお父さん(夫)だったらいいなあ、という人なのですよ。

ママの発言に反発した菜穂が、友達(亜矢の他にもう一人、幼馴染の友達が出てきます)と話すうちに変わっていくところ、そしてママの決断を応援する気持ちになってから、ママと再会(というと変ですが)するシーンもとても好きです。

なんだか自分はまだまだこれからでも変われる、前に進める(物語の中では「赤い靴をはく」と表現しています。そのエピソードは本の中で)、という気持ちを抱かせてくれる、そんな本です。
そして全体に、あまいお菓子の匂いが漂っているような…。


…書いていて、自分のストーリーテリング力のなさにがっくりですが、よかったら、ぜひ読んでみてくださいね。

今日は、お勧めの本の紹介でした♪